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サギソウの…

上野森林公園のシンボルマークにもなっており、皆もよく知っているサギソウ。
けれどサギソウが咲く前や咲いた後の姿をみたことはありますか?
そんなあまり知られていないサギソウのつぼみや花終わりの姿を紹介したいと思います。


サギソウ開花の1ヶ月ほど前、7月から8月の初めになると、株の中央からひょろっと花芽が伸びてきます。
このときのつぼみの大きさはわずか1cm。イグサやカヤツリグサにまぎれてほとんど目立ちません。


花芽が出て2週間ほど経過するとつぼみが膨らみ、同時に距(きょ)と呼ばれる蜜が入った袋が伸びてきます。
このくらい大きくなると開花は間近。翌日には花を咲かせます。


つぼみを包んでいたガクが「パカッ」と開くと開花の合図。
つぼみの中にギュウギュウに詰まっていた花びらを広げていきます。


花が開いたばかりはこんな姿。
「白鷺が飛び立つ姿」で有名なサギソウですが、飛び立つ姿になるまでは沢山のステージを経る必要があり、その過程で虫や鹿による食害、台風などの強風による転倒、人の手による盗掘など様々な障害を乗り越えたものだけが花を咲かすことができます。

 


花が終わると次は実のステージ。
ガクの下に位置する子房(しぼう)が成長していきます。

 


役目を終えた花は風で飛ばされて地面に落ちるか、そのまま枯れてしまいます。

 


夏場に貯めたエネルギーを消費して、子房の中ではサギソウの種子がぐんぐん成長していきます。
子房は花の咲き終わりと比べると2倍以上太くなります。

 


10月になると身は茶色くなり、カラカラになるまで乾燥します。
ある日実がパカッと割れて、その隙間から種がこぼれだし、風に乗って新天地へと運ばれます。

 


試しにサギソウの実を割ってみると粉のような種子がぎっしりと詰まっています。
ただしランの仲間であるサギソウはラン菌と呼ばれる特別な菌類が発芽に必要なため、これだけたくさんの種子があっても発芽できるのは数パーセント、花を咲かせるまで育つのは選ばれた株のみとなります。

 

普段ほとんど紹介されないサギソウの様子はいかがでしたか?
花は子孫を残すために劇的な変化を起こします。
観葉植物や雑草、庭木など身近な種類でもその変化はおこりますので、ぜひ身の回りの植物でも観察してみてください!